誉めちぎり
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Question
今回の石破首相とトランプ大統領の日米首脳会談の評判は、会談前の大方の不安を払拭し上々でしたが、成功した主な要因は何でしょうか?
Answer
まずは「事前準備」の素晴らしさです。官邸の指示で、霞が関の各省庁がオールジャパンで、トランプ大統領の性格、好みなどを徹底的に調査・分析し、周到に準備をしたうえで首脳会談に臨んだことです。
2つ目は「誉めちぎり」作戦です。研修で解説した「コンプリメント」(承認・称賛のコメント)を冒頭に連発し、大統領の心を掴みました。
大統領が昨年の暗殺未遂事件で負傷した直後に立ち上がり、星条旗を背に拳(こぶし)を突き上げたときの写真を見せながら語りかけました。
「大統領はあのとき、自分は神様から選ばれた。大統領になって、再び米国を偉大な国に、そして世界を平和にすると確信されたと思いました」
トランプ大統領は「神様から選ばれた」という言葉に、ビビッドに反応し、思わず「Very nice.Thank you!」とつぶやきました。
研修で解説した「ズーニンの法則」(初動4分の法則)で、トランプ大統領の脳内に「ドーパミン」(快楽ホルモン)が分泌され、石破首相に対して、素晴らしい仕事をする男だと「好意の返報性」が生じました。
仕上げは、損得勘定の高い大統領に対して、米国に驚異的金額の投資話という「お土産」を抜かりなく準備しプレゼントを約束したことです。
「事前準備の大切さ」および「Emotion(感情・情動)と「Logic(論理)」の組合せが最もパワフルな説得テクニックの好例ですね。